
夏の早朝、玄関口からおじいちゃんが呼ぶ声が。
「こんな時間になに?」と思っていると、夫が対応しに行った様子。
帰ってきた夫の手にはこんな枝が…
ホントはもっと大きい(笑。剪定して先端のみを撮影しました。
これは高野槙(コウヤマキ)です。
引っ越してきた当初から庭に植えられていたもので、木自体は、ちょっと弱っている感じなのですが、すごく香りがいい。これまでもこの、柔軟なマツのようなこの葉を、チンキ剤に仕込んで、マウスウォッシュとして使っていましたが、この日玄関から持ち込まれたものは、ちょっと使い切れないほどの量です(笑。
さらに松ぼっくりならぬ、〝槙ぼっくり〟とでも呼ぼうか?笑、まだ未熟な松毬(まつかさ)や、昨年のものであろう、開いてバラのようになった松毬もついています。
そして部屋を覆い尽くすかのような、峻烈で荘厳な、森の香り。
「これはきょう、さっそく蒸留しなくちゃ」と思い立ちました。
高野槙(コウヤマキ)・本槙・真木
高野槙は、樹脂成分が多く腐りにくいために、古くから風呂桶などに利用されてきたようです。
榊の代わりに使う地域もあるようで、やはり神性な樹木なのでしょうね。
主成分は、マツやスギ、ひのきなど針葉樹に多いといわれるαーピネンということで、スゥーとする針葉樹の香りが立つのだろうな、と予測しました。
木材として優秀で、伐りつくされて自然界には減っているようですが、日本の固有樹木なのだそうです。
すくっと伸びる大型の木で、庭木で人気。でも、広い庭の減る現代では需要も減っているのかもしれませんね。
松毬には樹脂が多いようで、切る端から白いボンドのような樹液(松ヤニ?槙ヤニ?笑)が次々あふれ出てきます。
葉は、マツよりも柔らかで、ツンツンしても痛くはありません。が、やはりマツと同じように、根元の部分を触るとベトベトと樹脂が手につきます。
「コウヤマキエキス」って?
半ば本能のようにしてチンキ剤を仕込んでマウスウォッシュとして使っていましたが、ちゃんと調べてみようと検索すると「コウヤマキエキス」という文字を発見しました。
なんと!オーラルケアに良いということで、歯周病予防・改善の商品も発見。
あら、ちゃんと理にかなった使い方をしていました(笑。
さらに、コウヤマキエキスには、体の中にある強力な抗酸化作用を持つ化合物「グルタチオン」を生産促進するのだそうで、なんと!抗老化にも良く、スキンケアにも使われているみたい。
これは…今年は大量に仕込むか!と目論むべき事案かな、と思います(笑。
「高野槙(コウヤマキ)」のチンキ
松ヤニならぬ〝槙ヤニ〟があふれてくる松毬(槙ぼっくり!)も一緒に漬け込みました
今回使ったのは、40度のウォッカと、足りない分はスピリタスを水で希釈してうめました(笑。
いつの時もイイカゲンなんですよ、私。
せっかくなので、樹脂がいっぱいついたままの松毬も一緒にドブン。
さて、どんなチンキになるのやら。
このヤニはチンキに入ってもいいものだろうか?
ピロリ菌やアクネ菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などの抗菌成分との文章もネット界隈で探せたので、チンキが出来上がったら、大切に使いたいと思います。
「高野槙(コウヤマキ)」の芳香蒸留
相変わらず昭和の香るわが家をバックに(笑)。いつも通りの約2時間。
蒸留の方は、たかだか2時間ほどで終わるので、夏休みで友だちが遊びに来ていた息子を、ここぞとばかりにほっぽらかして集中時間を確保し、約350ml。
蒸留したては、リモネン臭が強く感じましたが、しばらく寝かせると、チンキとも、フレッシュな葉とも同じような、まさに「高野槙」!といった香りに仕上がりました。思ったよりもスゥー臭は強くはありません。
さらに、ほんの1mlほど精油も採れたようですが、分離は難しいと践んで、スピリタスで乳化させスプレーにしてみました。
こちらも、若干スゥーっと感が強いですが、ほぼ蒸留水と同じような香りです。
高野槙は香りを利用するのに向いた植物なんだと体感しました。
こちらはエアフレッシュナー的な使い方、芳香浴的な使い方がよいのかな?と思っています。
実生で育つのか?種まきにチャレンジするよ!
下に写っている小さい粒が種。槙ぼっくりは〝フォレストローズ〟と呼ばれるだけあってバラのような見た目
乾燥したほうの槙ぼっくりから、5〜7粒の種が落ちました。
実生の苗を育ててみようかな?と思います。
コウヤマキの種まきは、低温処理した後、3月頃に蒔くのが一般的なようですので、来春が楽しみです♪