移住者が田舎で子育てしていると、自然と周辺には同じような移住者ファミリーが集まってくるものです。

よく聞くのが「自然の中で子育てしたくて」とか、「小さい時に自然の中で五感を使うことで発達が促される」なんて話だったりします。

確かに、自然の中で体を使って様々な体験をすることはすばらしいことだし、都会ではなかなか体験させてあげられないことです。

信州の田舎の大町市には、そんな子どもの感性を伸ばす大自然が、そこらへんに普通に転がっていることも確かです。

また、肌や内蔵が未発達な乳児期には、水や空気がきれいなのは外せませんよね。

息子は、飲み物の中でも特に水が大好きで、これも水がきれいな大町ならではの子どもだな、と感じます。

3歳の頃、都会の知人宅で出してもらった水がおいしくない経験をして、水恐怖症になったことがありました。それも大町っ子ならではのエピソードかもしれませんね(笑。

水道をジャーっとひねって出てくる水がこんなにおいしいなんて、本当にありがたいです。

“畑のおじいちゃん先生”や“隣のおばちゃん”

でも、最近になって感じることは、やっぱり子どもって「人」の中で育つんだなぁということです。

手つかずの大自然の中で核家族で暮らしてくことは、それはそれでいろいろ得るものもあるでしょうけど。

〝田舎のコミュニティ〟もまた、とても子育てには良い影響を与えるんだと思います。

息子は、未満児の時から年中まで、小規模で田舎っぽい保育園(笑)に通っていました。

園庭のすぐ隣に、園の畑があって、その周辺一帯が、地域の人たちの畑でもありました。

面倒見のよい地域の人たちが、園の畑も手入れしてくれ、いろいろな経験をさせてもらいました。年少の夏には、畑に植わっている状態のすべての野菜の名前が言えたし、畑のおじいちゃん先生も子どもたちの名前を覚えて、名指しで「トマト食べられるようになったか!」とかまってくれていました。

お迎えに行くと私にも「母ちゃん!モロッコ(いんげん)あるかい?」と聞いてくれたりと、アットホームな関わりを持つことができました。

隣家のお母さんも、庭に出ている時にはいつも「いってらっしゃい」「お帰り」と声をかけてくれます。そんな中で息子が育つことに、とても豊かな気持ちになるのです。

信州の学校は「コミュニティスクール」

長野県の小中学校ではいま、「信州型コミュニティスクール」という学校運営のスタイルを取り入れています。

コミュニティ・スクールというのは、地域が学校運営に積極的に関わるもので、文科省が推進しています。「学校運営協議会」という組織を地域住民などで作ります。

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度):文部科学省

長野県では、「信州型」という独自のスタイルを用いて、早々と平成29年度に全県下でスタートさせてしまいました。

信州型は、住民ボランティアによる学校周辺の環境整備や授業支援などに力を入れたものになっています。元々信州は「おらが学校」気質が強いのか、地域によってはスンナリとスタートしました。

中でも、美麻地区にある美麻小中学校は、全国的にも注目されるほどの先駆者かもしれません。ここは、文科省型信州型併設。美麻wikiというホームページ内に詳しく書かれています。

美麻wiki

※令和2年度には、大町市内全ての小中学校が文科省型に切り替わりました。

暮らしの中で学ぶこと

息子が5歳になった頃から「地域の子育て力」というようなものについて、よく考えるようになりました。

今、知らない大人と気軽に話すことも難しい時代。でも、コミュニティスクールがよく機能している学校に行くと、学校内にボランティアの姿があるのがいたって普通です。

“知らない大人”と安全に関われる学校制度があるってステキだな、と思います。これって、少し昔ならば暮らしの中で普通に学べたこと。でも、今の子どもたちにとっては本当に貴重なことです。

たとえば、「こんにちは」と挨拶すること。野菜をもらって「ありがとう」と感謝すること。そして、親の価値観とは違う価値観で接してくれること。時にはそれが、子どもにとって試練ともなり、また、いつの日かきっと、助けにもなること。

近所のおじいさんやおばあさんに見守られながら子育てする、この環境こそが、現代には貴重なことなのかもしれません。


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